こんにちは。新米広報の吉田です。
先日、高澤ろうそく店再建事業に向けて、能登半島の建物に多く用いられている漆塗りを学びに、輪島市にある高木信治先生の設計事務所を訪問しました。
高木先生は地元材や漆を使った店舗や住宅を多く手掛け、奥能登の文化財保全に精力的に取り組まれてきた方です。30年ほど前に高澤ろうそく店の増築改修の設計も行なっており、今回は再建事業で用いられる「拭き漆」について教えていただきました。
能登建築では大工が材木の仕上げに漆塗りをするのが当たり前だそうで、地元大工で長年拭き漆をされてきた大宗さんに拭き漆を実践していただきました。
下地には防虫、防腐の機能性を持つ酸化鉄のベンガラを用い、その上から漆が均等に薄くなるよう丁寧に広げていきます。大宗さんは素手でやられていますが、実際に現場でやる際にはかぶれないように手袋などをつける必要がありそうです。
その後、拭き残しがないよう力強く拭き上げ、1日以上乾かします。拭き残しがあると色むらの要因となるため擦るくらい力を込めて拭き上げをされていました。
本来の色にするためには最低3回は重ね塗りする必要があり、高澤ろうそく店ほどの規模となると本当に手際の良さと根気強さが求められます。
また材木の種類や漆の配合によって色の出方が変わってくるため、現場から持ってきたサンプルなどを見比べながらどのような修繕ができるか一緒に考えました。
現場で実践できるよう真剣に拭き漆の様子を記録する現場大工。
その後、高木先生が設計された住宅を訪問させていただき、経年変化のなかで漆塗りが生み出す空間の美しさを実感しました。
ご馳走になったお茶菓子のお盆やお椀にも漆が用いられ、輪島の方が伝統を大切にする姿にとても感銘を受けました。
今後、地元子どもたちが漆塗り体験するなど再建事業を通じて、地域性を活かしたイベントなどを行なっていければと思います。