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職人だからこそ感じる、温故知新への想い

家づくりについて

(温故知新チャンネル【第1部|大工社長が語る「大工という仕事」より抜粋)

17歳から父の元で大工の道にはいったのですが、初めに私が思い描いていた大工っていうのは大きい工作をする人だと思ったんですね。大きい工作っていうのは、つまり大きな木を切ったり、刻んだり、組んだり、大工というのはそういった仕事をしている人たちだと思っていたんです。

私が17歳の時はじめて大工道に入ったときはそういった仕事はまだ父もやっていました。しかし、私が入って1年もしない間に、手で刻んでいたものがプレカットといて機械加工されていく時代に変化していきました。今やそれが主流になってきているのですが、大工が大きい木を刻む機会がなくなっていくのを感じました。

それと同時に私たちが作業場兼事務所として使わせていただいている場所なんですけれども、旧酒蔵だった場所を改修して再利用しています。やはり150年くらい前の明治初期の建物だとやっぱりまだ職人がまだ手で刻んでいたりだとか、職人の手しごとが見えるんですよね。

私が当初、思い描いていた大工道っていうのは昔の建物で実践されてきたことだったんです。現代の新築工事と昔の建物とギャップが激しく、「今のやり方でいいのか」と葛藤がありました。

現代主流の新築は手刻みで刻んでいなかったり、既製品が多かったり、ボルトや金物で家を固定するような住宅です。改修していたその酒蔵の仕事っていうのは、人が全て手を入れている仕事っていうのが見えていました。古いけれどもやっぱ100年、150年持つ造りをしていたんですよね。

-なるほど。
ここでいう刻みっていうのは具体的にはノミとか、機械ではなく、手で刻む道具で直接加工していくってことですよね。

昔の建物を見ていると材料自体をやっぱり吟味していたことが分かりますね。ただやみくもに使っているんじゃなくて適材適所一本一本この木をここに当てがおうという考えが見えました。

-まあ今の住宅って30年で価値がなくなるって言われていますからね。

そうなんですよね。まあそれでもうなずけるような造りを(当時)していたように感じます。

-プロの目で見ても30年で仕方ないよなっていう感じですか。

まあそうですね。30年持たせて次の世代にも受け継がせるかもしれませんが、大掛かりな手を加えなければいけないような状況です。そういう住宅は、「消費する住宅」となってしまいます。今造られているような新築は解体時に約9割がごみになってしまい、再生できるものが本当にごくわずかなんですよね。

-いわゆる産業廃棄物…

そうですね。それとは対照的に昔の建物は改修工事をしていてもごみが出なかったんですよね。昔の家だと木と土で造られているので、最終的に自然に還っていく。循環していくのが分かりました。

また、建物を永く持たせるために一本、一本太い材木が使われていています。家の丈夫さは材木の太さに比例していると言っても過言ではありません。材木が細ければ耐久年数が低くなり、太ければ太いほど耐久年数が上がります。改修した昔の建物は造って30年で終わりではなく、100年以上建物が健在されるような造りで造られていました。

―寺社仏閣なんて太い柱いっぱい使ってますからね。

そうですね。そこに大工の技術が上乗せされて1000年持つ建物になっているんですよね。
他にも、釘などの金物で組まれていないだけあって、ばらしやすかったんですよね。ばらせるし、組み直せる。なので解体がすごく楽だったんです。

―なるほど

私たちもそういった昔ながらの造り方である伝統構法で造らせていただいています。基本的には金物を使わず、木の形状を変えて継手を作り、木組みで家を建てる構法です。木と鉄だと鉄のほうが圧倒的に力が強く、(揺れがあった時に)家が耐えるというより、鉄が耐えることになります。そうすると材木が鉄に引っ張られて、負荷がかかり、破損してしまうんですね。しかし、木組みは同じ強度の材木が組まれているため柔軟性があり、耐えるというより、しならせることで力をうまく逃すことができます。

今、事務所として活用している築150年の酒蔵も改修したことによって、建物を受け継いでいくことが可能になっています。昔ながらの構法に学びながら、今の生き方や暮らし方にあった建築をこれからも造り続けたいと思っています。