解体作業と聞いて皆さんはどのような光景をイメージしますか?
私は能登を訪れた時、何度か大きな重機が建物を崩していく光景を目の当たりにしました。もちろん、中には暮らしの面影があって、暮らしていた人の思い出が詰まっていたはずです。新津技建に入社して様々なお施主さまと関わらせていただくなかで家が建つ喜びを感じてきましたが、家が失われていく姿を見て、はじめて家の持つ役割を痛感しました。故人を見送るのと一緒で、建物の終え方もあるのではないかと漠然と思った瞬間でした。

被災した高澤ろうそく店は再建という形でプロジェクトが進んでいますが、現場で見る解体作業は今までイメージしてきたものとは全く異なるものでした。床一枚剥がすために、大工の知識を総動員して直視できない接合部分の釘の打たれ方や木の組み方を想像し、手を動かしていきます。


改修工事は残すべき建材が多くあるためそれらを傷つけないよう、時間を要しても手作業で丁寧に行なっていきます。ここで剥がした床板は洗面所の天井や腰壁に再利用する予定です。

どうしても再利用できない部材であっても、時にそれが大工から見て残すべきものだと判断されれば捨てずに保管します。それは今回の事業でなくてもその部材が生きてくる場面が今後訪れるかもしれないからです。
木を活かし、木に生かされるのが大工の仕事。現場には真摯に建物と向き合う大工の姿がありました。



