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【歴史ロマン】時代を刻む「土蔵」と「橋梁」

布流久佐 開業準備室

国の補助金支援を受けて進行している『土蔵移築活用プロジェクト』。新津技建社屋向かいには、昨年3月に長野県佐久市で解体した土蔵(新呼称:布流久佐)が移築されています。

その「布流久佐」が辿った歴史を遡ると、江戸時代に現在の佐久市望月で建築されたことに始まったと伝えられています。その後、1869年(明治2年)に佐久市桜井へ移築、2022年(令和4年)に佐久穂町へ再度移築されて現在に至っています。1度目の移築から起算しても、既に150年以上の年月が流れている訳ですね。

150年という時間の堆積に触れる時、いつも思いを重ねる「橋梁」があります。その橋梁は神奈川県西部の山北町にある「第2酒匂川橋梁」と呼ばれるもので、1889年(明治22年)の完成から今も現役で使われています。「布流久佐」の1回目の移築から20年後に完成した橋梁で、こちらは134年の歴史を刻んでいるということになります。

この橋梁の見どころは、日本における鉄道創世記の土木技術・意匠を感じられる点です。石積みで築かれた2つの橋脚は、川の流れに対して鋭角に切り取られた舟形をしており、橋脚下部には御影石とレンガのアーチが施されています。橋台部分もレンガと御影石を組み合わせた意匠で、文明開化がもたらした洋風建築の要素を積極的に取り入れている点が印象的です。

折り重なる台風などの自然災害を乗り越え、今もなお現役を保つこの姿は大変価値のある風景と感じています。それは、私たちが手掛ける「布流久佐」にも言えることで、先人が築き上げた構造物への敬意と、地域の風景・財産としてこれからも大切に守り継いでいく意志が大切であると感じています。